COSMETIC ROACH
ゴキブリを化粧品として捉える試み。
ゴキブリの手足を切り取り眉毛としてくっつける。
電気刺激を与えることで動かすこともできる。
「きれいは汚い、汚いはきれい」
シェイクスピアの『マクベス』に出てくるセリフだ。きれいと汚い、美と醜といった価値は、常に互いに表裏一体の関係にある相対的な概念である。人間は綺麗になるためにメイクをする。そして、ゴキブリを醜いとして踏み殺す。しかし、自分にはゴキブリはグロテスクなものではあるが醜いとは思えない。むしろ、綺麗とさえ思う。この作品は人間のきれい(メイク)に汚い(ゴキブリ)を組み込む作品だ。ゴキブリの手足を切り取り、電気刺激で動かす。これは汚いの醜い部分を切り取り極限まで汚くする行為だ。そして、無数に動くゴキブリの手足をメイク道具として用いる。これは、究極の汚いを”きれい”にする行為だ。この作品を作る過程で、自分は”きれい”とはなんであるか全くわからなくなった。しかし、変わらずゴキブリは”きれい”だった。もっと”きれい”であることを認識できた。ゴキブリを”きれい”と言い切るつもりはない。”きれい””汚い”は相対的なものであるからだ。しかし、この作品は「きれいを汚い、汚いをきれい」と思い直させる力があるように感じる。
CREATIVE HACK AWARD2019 ファイナリスト
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